クロスケの家

施設の紹介

茶工場

養蚕用の蚕室として明治35年の秋に建てられたものが昭和25~26年頃に茶工場とするために増築したとされています。
当時茶業はすでに機械化が始まっており、動力は梁を通したシャフトにベルトで伝達する方法でした。しかしシャフトをベルトでうまく回転させるには、伝統的な工法の家屋では天井高が低すぎて納まらないので建物全体を高くする必要があるのです。この茶工場には旧蚕室部分の土台下に石を挟み、天井高を上げた様子が残されています。

また、出入り口部分の妻側上部には大きなプロペラがついています。これは、茶葉を蒸し器にかける作業で熱気がこもるため、昭和30年ごろに取り付けられたものですが、一般的に茶を扱う工場にあるものではなく、その独自さは例を見ないものです。

かつてのお茶作りの場

茶工場は、旧蚕室を土間、増築部を板間とする簡略な間取りですが、その間取りと床仕上げにも製茶工程に応じた特徴が見られます。製茶には2段階の工程がありますが、かつては農家が一時工程を、製品化の二次工程は商社・問屋が行っていたものでした。昭和20年代にこのふたつの工程をひとつの木造建屋でまかなっていた例は珍しく、現存する貴重な例となっています。

ワークショップも

この建物には動力の変化、熱源の変化も残っており、さらに越屋根や2層3層の蚕室としての様子も残しています。日本の近代産業の盛衰を反映した変化を残しているといえます。2011年4月、この茶工場は文化財的価値を保ちつつ補強改修を経て一般公開されました。学びの場、ワークショップの会場などとしても活用していきます。
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